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2020年09月30日(水)

社会的養護リービングケア海外事例調査報告書-イギリスおよびオンタリオ州(カナダ)

本報告書はパルシステム 「地域づくり基金」 の助成をいただき、首都圏若者サポートネットワークの活動をどのように行っていくかヒントを得るために、イギリスとカナダ、オンタリオ州の事例を収集し、作成した調査レポートです。

全文はリンク先のPDFファイルでご覧いただけます。

社会的養護リービングケア海外事例調査報告書-イギリスおよびオンタリオ州(カナダ)

以下、本レポートを執筆した小田川華子氏の報告書まえがきを引用転載しましたのでご一読ください。

18 歳。それは多くの若者にとっては高校を卒業する年齢である。その後、進学するにしても、親元で生活するか、親からの仕送りを糧に生活をするのが一般的で、経済面以外でもさまざまなことで親の世話や助言を受けながら日々を送る若者が多いだろう。しかし、日本で社会的養護を受ける若者たちは 18 歳で巣立ちを迎える。巣立ったあと、頼れる親はいない。たくさんの困難や不利を抱えて育ってきたこれらの若者たちは、他の若者よりも格段に大きな不利を抱えたまま社会に送り出される。18 歳以上でも入所できる自立援助ホームやステップハウスでの支援が制度化されてきてはいるが、若者たちが希望をもって自立に向けて歩んでいけるようにするには、まだまだ多くの支援が必要とされている。
一般社団法人ユニバーサル志縁センターは、2017 年に首都圏若者サポートネットワークを立ち上げ、こうした若者やその支援者へのサポート活動を始めている。さらに、どのような支援が有意義と考えられるか、ヒントを得るために、海外の取り組み事例を収集しようというのがこの調査プロジェクトである。本調査ではイギリスとカナダ、オンタリオ州での取り組みを取り上げた。これらの国でも社会的養護を巣立つ若者が置かれている状況は厳しい。この状況を打開しようと、この 5~10 年の間に政策が動き出してきており、各施策の内容もさることながら、政策形成のプロセスに社会的養護に携わる現場職員や若者たちも関わっており、大変興味深い。報告書の最後にイギリス、オンタリオ州それぞれの注目ポイントを挙げ、日本への示唆を付記した。
本調査プロジェクトは、一般社団法人ユニバーサル志縁センターがパルシステムから助成を受けて実現したものである。調査の実施、執筆は、一般社団法人ユニバーサル志縁センターから委託を受け、小田川華子(首都大学東京客員教授)が担当した。この報告書が社会的養護を巣立つ日本の若者の支援強化につながれば幸いである。

2019 年 3 月 10 日
小田川華子
首都大学東京客員教授