本報告書は三菱財団から助成をいただき、自立援助ホームの若者の就労自立支援スキーム構築のために実施した体験就労プログラムの調査報告書です。
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自立援助ホームの若者の就労自立支援スキーム構築のための調査報告書 体験就労プログラムのモデル化を目指して
以下、本レポートを執筆した小田川華子氏の報告書まえがきを引用転載しましたのでご一読ください。
「あなたは16歳のころ、どんな毎日を過ごしていましたか?」と大学生に聞いたところ、「高校に行っていた。」「部活をしていた。」というような答えがかえってきた。「自分でアパートを借りて住む、自分でご飯を作って食べる、そのために自分で働いて稼ぐ。あなたが16歳のとき、そんなこと考えられましたか?」と続けると、大学生は一様に首を横に振った。児童養護施設で育ち、高校に進学しなかった若者たち、中学をでてから親の家にいられなくなってしまった若者たちは、自分の力で生活しなければならなくなるが、年齢的に未熟であるうえに、厳しい環境で育ったこともあり、自立生活は困難の連続である。そのような境遇の若者が自立生活の準備をするための生活の場とサポートを提供しているのが自立援助ホームである。
自立援助ホームの職員がよく目にするのは、自立するためにチャレンジするものの、アルバイト先で「なんでそんなことも分からないの!」と叱責され、怖くなってアルバイトを辞めてしまい、自信を失ってしまう若者の姿である。若者の境遇について配慮がなく、いきなり一人前の従業員として働くことが求められる環境では、なかなか若者は成長することができない。就労自立の準備段階で職場体験などを通して社会経験を積む機会が必要であるが、そういった事業はいまだ制度として確立されていない。
そこで、自立援助ホームの職員等の意見をもとに、社会的養護等で育った若者を支援する首都圏若者サポートネットワークが2018~2019年にかけて三菱財団から助成をえて開発を試みたのが、自立援助ホーム等で暮らす若者を対象とする体験就労プログラムである。本報告書は体験就労プログラム実施後に第三者の立場から事業評価を行うにあたり委託を受けた小田川華子が調査を企画、実施し、執筆したものである。本プログラム並びに報告書が自立援助ホームの若者の就労自立支援スキーム構築の一助となれば幸いである。
研究代表者兼調査担当者
首都大学東京客員准教授
小田川 華 子