2020年10月3日、生活クラブ生協との共催で、第3回若者おうえん基金シンポジウム「社会的養護から巣立った若者を応援する~新型コロナの影響とこれからの就労支援~」をオンラインにて開催しました。
各団体の講演をまとめたのでご覧ください。
シンポジウム当日の動画はこちらからご覧いただけます。
■目次
- 主催者挨拶
- 共催団体挨拶
- 首都圏若者サポートネットワークの現状報告
- NPO法人ヒューマンフェローシップ
- 認定NPO法人育て上げネット
- NPO法人日向ぼっこ
- 一般社団法人くらしサポート・ウィズ
- 一般社団法人ワーカーズ・コレクティブ凛
- 厚労省家庭福祉課長 中野さん講演
- パネルディスカッションについて
- 認定NPO法人ブリッジフォースマイル
- 自立援助ホーム マラナ・タ・ハウス
- よいしごとステーション
- 生活クラブ連合会
- パネルディスカッション
- 閉会挨拶 元厚生労働事務次官 村木さん
○主催者挨拶
首都圏若者サポートネットワーク運営委員長の宮本みち子さんより、若者や子どもの貧困に対する最近の動向についてお話を頂きました。
子どもの貧困対策の推進に関する法律は2019年6月に改正され、同年11月には新大綱が成立して、対策の報告が具体的に示されました。
この新大綱の中で、都道府県だけではなく、市町村についても子どもの貧困に対して計画を策定することが努力義務となり、2020年度中に、子どもの貧困に関する全国調査が行われることになっています。各地域や日本全体の子どもの貧困の状況が、初めてデータによって把握できる段階に来ているようです。
新大綱の中で、社会的養護に関する主だった施策として、下記が挙げられました。
・高等教育の就学支援(授業料の減免措置)
・給付型奨学金の拡充
・児童養護施設等の子どもへの支援として学習支援の拡充
・進学に関して必要な学用品当の購入費の支援
・大学等に就学して自立援助ホームに入居する者に対して原則22歳まで居住可能に
こうした子どもの貧困に対する取り組みが前進しようとしている矢先に、新型コロナウイルスが流行し、コロナ以前から弱い立場にあった若者たちは、より一層厳しい状況に直面していると考えられています。具体的に、新型コロナウイルスがどういった影響をもたらしたのか、数値による説明を頂きました。
・完全失業者数は前年同月比で49万人増の206万人。これから本格的に上昇していくと思われる。
・失業率を男女別にみると、男性の失業率が前月と同じ3%、女性が0.2ポイント増の2.9%。新型コロナによる影響がサービス業、小売業にある。この業種では女性の就労者が多く、非正規雇用も多いため、女性の失業問題に大きな影響を及ぼしていると思われる。
・有効求人倍率は8か月連続悪化している。
・自殺者数は前年同月比で246人、15.3%増加している。ここでも、女性の増加率が非常に顕著である点に注意が必要。
・新卒者の就職について、内定が取れる学生と取れない学生の二極化がますます進むと考えられる。企業の基準にかなう学生が減っている。社会的養護を巣立つ若者たちが、そうした労働市場の中で仕事に就ける状況になるかが重要な問題になる。
・強いストレスを受けたときに神経が張り詰めた状況になる「覚醒亢進」に該当する高校生が、小中学生よりも顕著に多くみられる。
こうした状況を踏まえ、首都圏若者サポートネットワークの活動が、コロナを経験してますます大きな課題を背負っている、今後も関係者と協力して頑張ってきたいとの言葉で挨拶を締めくくりました。
○共催団体挨拶
生活クラブ事業連合生活協同組合連合会会長、伊東由理子さんにご挨拶を頂きました。
生活クラブが首都圏若者サポートネットワークに参加して、立ち上げ時の研究会から数えて5年、若者おうえん基金の助成に参加して3年目になります。
この間、東京都・神奈川県・埼玉県生活クラブの組合員とともに、カンパのお願いや、若者たちの実情を自らの問題として考え、地域で大人たちができることを考えるために、各地域で様々な活動に取り組んできました。若者たちを応援している大人が地域にたくさんいるという姿を見せていく、触れ合う場をつくることが重要との考えのもと、子ども食堂、学習支援、生産者と協力したフードバンクなどの活動に取り組まれてきました。
コロナを経て、お互いに姿が見えないことの不安を痛感していること、それゆえに、小さな単位の地域で、若者たちがアクセスできる場を築いていくことが重要なのではないかと、述べられました。
○首都圏若者サポートネットワークの現状報告
続いて、当団体及び助成先団体等の活動報告を通じ、新型コロナの影響も含む若者が抱える様々な課題への取り組みの紹介が行われました。
はじめに、首都圏若者サポートネットワークの池本さんより、若者おうえん基金の状況について説明がありました。
伴走支援者を支える支援を2017年より、生協や労働組合、ワーカーズコープの皆さまと連携して行ってきました。
2019年度では18,580,574円の寄付を頂きました。生活クラブの皆さまより、組合のカンパを通して多額のご寄付を頂いており、ほかにもパルシステム連合会、コープみらい財団、個人的な寄付、チャリティ自販機など様々な形でご寄付を頂いております。助成としては、14,751,000円の助成を実施しました。
ほかに、2020年2月には、労働組合が取り組むプラットフォーム「ゆにふぁん」の応援を頂きクラウドファンディングを実施しました。7,574,000円のご寄付が集まり、これをもとに全国を対象に助成事業を実施することができました。具体的には研修枠、新型コロナ緊急助成に加え、ソフトバンク様・中央共同募金会様から頂いた200万円のご寄付を合わせて、チャリティスマイル緊急助成、これら3つの助成を実施することができました。
皆さまのご支援のおかげで2019年から2020年上半期にかけて、助成事業を実施することができました。現在、第3回若者おうえん基金助成に向けてクラウドファンディングを実施中であり、引き続きのご支援を呼びかけました。
続いて、助成先団体の活動報告が行われました。
●NPO法人ヒューマンフェローシップ
最初のご報告は、K2インターナショナルグループ NPO法人ヒューマンフェローシップ、坂本牧裕さんに頂きました。
NPO法人ヒューマンフェローシップは、約30年にわたって、生きづらさを抱える若者を様々な形で支援しており、「ひとりにさせない、抱え込まない」ことを大切にされています。困難にある若者の多くは、ひとりになってしまい、抱え込んでしまっている現状がある、社会的養護のもとで育った若者たちも、そうした状況にあると感じていると、坂本さんはお話されていました。
今回は、第二回若者おうえん基金助成、一般枠二次公募で採択され、二人の当事者の支援に活用されました。
支援者一人目は、Yくん(25歳)。児童養護施設で育ち、高校3年の卒業時、就職できずK2の自立援助ホームに入所しました。自立援助ホームでは、運転免許の取得や、就職研修、退職してしまい再就職、といった生活を過ごしていました。ある時、定期面談のための連絡が取れなくなり、スタッフがアパートを訪問。ゴミ屋敷化した部屋にひとり、うずくまっていた状態でした。現在では伴走支援を受けて共同生活をリスタートしており、K2グループ法人内の飲食店に就職しています。
支援者二人目は、Sくん(26歳)。乳児院、児童養護施設で育ち、高校在学中より、K2の自立援助ホームに入所しました。精神3級の手帳を取得しており、障害年金受給のサポートや、グループホーム入所を目指した支援を行っています。これまで継続的に就労をすることに困難を抱えていましたが、現在では飲食店のデリバリーの仕事を始めています。デリバリーの仕事で必要となる原付免許取得のサポートを行い、ほかにも生活支援として、定期通院の同行や、面談を実施しています。
今回の支援者のように、児童養護施設の退所者の多くは、様々な困難に直面しています。一方で、彼らは、失敗したときに戻れる「実家機能」をもっていません。K2グループでは横浜の根岸を中心に、彼らと共に生活していく活動を行っています。若者たちが、地域の中で仲間がいると実感できるように、また、いつでも帰れる実家のような関係が築けるように、多様な住まい方に合わせた安定した生活の場づくりや、働く場づくり、支援の循環や仲間づくりを活動として行っています。
●認定NPO法人育て上げネット
二団体目のご報告を、認定NPO法人育て上げネット教育支援事業事務局、力丸ゆみさんに頂きました。
認定NPO法人育て上げネットは、立川市に本部を置き、若者の孤立を防ぐ活動を行っています。主な事業として、職に就いていないために孤立してしまう若者に、就労基礎訓練プログラムを提供する事業や、高校生に金銭基礎教育プログラムを提供する事業、小中高生を対象とした学習支援事業、我が子の就労に悩む保護者を対象とした相談事業の4事業を行っています。
今回、第二回若者おうえん基金助成の研修枠で採択され、職員向けの研修に活用されました。
これまで、育て上げネットが、社会的養護のもとを巣立つ若者と接する機会はありましたが、それは、若者たちが支援の各現場までアクセスしてきてくれて、つながることができていたようです。コロナ禍で、より弱い立場にある社会的養護は、より困難な状況に陥っていると考えられますが、以前のように若者たちが支援の現場に来られない状況です。その中で、現場の実情に沿ったよりよい支援を模索するべく、社会的養護のもとで育った・育つ若者たちについて学ぶ研修が行われました。
職員への研修制度「育て上げ大学」を活用し、「児童養護施設を知る」というタイトルで、4回にわたって講義を実施しました。支援者としてのあり方、社会的養護に関連する制度や、児童養護施設での支援、施設等を出てからの支援など、各分野で活躍する講師より、講義が行われました。すべてオンラインで実施し、遠方の講師や点在する事業拠点のメンバーも参加することができました。また、4回の講義に加えて、第5回として、当事者の声を聞く会も開かれました。受講者の方からは、働くということを体験することの重要性や、若者一人ひとりの背景を理解することの重要性が分かったとの声が多くあったようです。
法人として、施設にいる間での仕事体験や、今後、親に頼れない若者が、頼れる大人の存在として、育て上げネットの存在を思い出してくれるような、長くゆるいつながりを模索していきたい、と最後にお話頂きました。
●NPO法人日向ぼっこ
続いて、NPO法人日向ぼっこの木本ゆうさんにご報告頂きました。
NPO法人日向ぼっこは、多様性が尊重される社会の実現を団体の目的としています。大切にしていることとして、本人の意思を大切にすること、ひとりで抱え込まないようにすることの二つがあります。主な事業として、居場所事業、相談事業、発信事業を行っていますが、中でも居場所事業を最も大切にしています。食事やゲームをするなど、安心安全な場所を提供するために、週3回、サロンの活動をしていました。コロナ禍で継続が困難な状況になり、サロンは週1回、zoomでオンライン開催を2回行っています。
今回、新型コロナ緊急助成・チャリティスマイル緊急助成で採択され、困っている若者たちへ食料や衛生用品を送ることに活用されました。若者たちからは、4月頃から、食べるものが買えないという声が多く寄せられたそうです。食料を送ることで、食べ物がないことからくる不安を払拭できたことに加えて、久しく連絡がとれていなかった若者と連絡をとり、つながりが持てました。仕事の状況や現在抱えている悩みごとを聞く、雑談をするなど、精神的なサポートにつながったようです。約40名の若者たちに、食料の配送を実施しました。
コロナ禍で居場所事業が従来通り行えない中、試験的にzoomサロンを行っていました。実施する中で、若者たちが抵抗感なくzoomサロンに参加してくれることや、オンラインのほうが直接話しやすいという若者がいることが明らかになりました。就職等で地方に引っ越した人たちとも、zoomを通じて近況を伺うことができ、交通費の負担があってこれまでサロンに来られていない人とも、話す機会が持てたようです。
サロンに来る若者たちのほとんどが、10~20代で、派遣やアルバイトなど不安定な雇用形態にあります。ほとんどが飲食業関連の職種であり、特別な技術や経験を持っていないため、次の仕事が見つけられない中、コロナ禍でいっそう苦しい思いをしています。アルバイトを前提に進学を目指していた人については、上京したばかりで都会の生活に慣れておらず、アパート代を賄うことも厳しいケースも見られます。
コロナ禍で支援活動を行う中で、サポートを受ける人・サポートを提供する人の関係が強化され、また、サポートやつながりを求めている人が、潜在的に多くいることを感じられたようです。サポートがあることを、サポートが必要な人に、いかに発信していくのか、今後の課題として話されました。
最後に、緊急助成では助成決定から入金までの対応が早く、支援者として助かったと、事務局の対応についても感謝の声を頂きました。
●一般社団法人くらしサポート・ウィズ
続いて、首都圏若者サポートネットワークの就労キャリアワーキングで実施している体験就労について、事務局として一緒に活動をしている、くらしサポート・ウィズの中根康子さんより、ご報告頂きました。
就労キャリアワーキングでは、就労体験プログラムに取り組んでいます。協同組合では働く場をもっていて、応援する仲間もいることから、このプログラムが始まりました。
この体験就労プログラムは、自立援助ホームのトレーナーが関わっている若者を対象とし、一か所の就労体験5日間につき、生活補助費3万円を支払うものです。若者たちの希望に合わせ、就労体験先をマッチングしていきます。仕組みとしては、自立援助ホームのジョブトレーナーが、就労に悩みを抱える若者について、くらしサポート・ウィズに連絡をし、くらしサポート・ウィズが、受入可能な協同組合の現場とのコーディネートを行っています。
2019年では9か月で7名、9件のマッチングを行い、体験就労を実施しました。
このプログラムを通して、施設のジョブトレーナーへの聞き取り調査を行い、首都大学東京客員准教授の小田川華子氏の協力も頂きながら、調査報告書としてまとめられています。(報告書は、首都圏若者サポートネットワークHPからも閲覧頂けます。ぜひお読みになって頂けますと幸いです。https://wakamono-support.net/news/258/)
体験就労プログラムや、調査により、新たな気づきが得られました。当事者が体験就労プログラムを利用する理由として、仕事のイメージがつかない、職場になじめず仕事が続かないといった悩みがありました。そうした悩みの解決だけでなく、当事者が現場で温かく迎えられたことにより、「感謝の気持ち、人への信頼の気持ちが生まれた」、「自分でもできるという自信が生まれた」、といった変化が見られたようです。
2020年度でも体験就労プログラムを実施する予定でしたが、コロナ禍で就労受け入れ先が確保できず、応募者はいるものの、断念している状況です。
プログラムを体験した当事者の声、後日談についてもお話頂きました。体験就労は単なる仕事のマッチングではない。就職や職場体験はツールであり、参加者が信頼できる大人に出会い、自分の存在を確認する場、自分自身に向き合う場になるというところに、大きな意義があることが示されました。
体験就労プログラムの効果が分かった一方で、受け入れ側が大変そうである、という点についても挙げられました。就労に悩みを抱える若者を受け入れることを、特別と捉えるのではなく、“若者にとって信頼できる大人の一人になる”、という考えがあればいいのではないか、と中根さんは投げかけました。
●一般社団法人ワーカーズ・コレクティブ凛
続いて、実際に体験就労プログラムの受け入れを行った、一般社団法人ワーカーズ・コレクティブ凛の理事長、小柳智恵さんにご報告頂きました。
今回、生活クラブ生協のデポーにて、5日間の就労体験を行ったのち、13か月間アルバイトでの就労を受け入れました。
生活クラブでは、「ワーク」という仕組みがあります。社員の子どもがお手伝いで関わり始めたことをきっかけに、棚出しや袋詰めを仕事の切り出しをし、2~3時間という短い時間から労働参加できる仕組みが生まれました。現在では、働きにくさを抱える人、例えば、パワハラのダメージがある方、引きこもりの方など、そうした方々の社会参加の場としての機能を果たしています。
今回は、社会的養護の当事者であるプログラム参加者に対して、生活クラブ生協のデポーにて5日間の就労体験プログラムを行ったのち、アルバイトとして約1年間、仲間として受け入れました。
事前に聞いていた当事者の状況について、障害はないものの、対人が苦手で、自分に自信が持てない、といった話がありました。少人数で運営している店舗では、レジに人手が足りないこともあります。アルバイトとして働いてからは、少しずつ組合員やメンバーに見守られながら、対人の仕事に取り組んでいきました。凛のメンバーは子育てをしてきた人が多く、当事者に対して母親のような気持ちをもって接していました。
継続的にこうした取り組みを行うにあたっての課題も明らかになりました。業務中に当事者が失敗してしまい、強い口調での注意を受けると、落ち込んだ気持ちが身体症状に出てきてしまうことがありました。体調が悪くなり、早退や欠勤をする場合も。人数が少ない職場で急な対応を迫られる厳しさがあります。小柳より、こうしたトラブルを現場が抱えたときに、専門家の方のサポートを受けられたら、もっと活動が広がるのではないか、という意見が述べられました。
活動報告の締めくくりに、首都圏若者サポートネットワークの運営委員からコメントを頂きました。
宮本みち子さん:
伴走型支援というと、伴走者と若者の一対一の関係を想像されてしまうことが多いですが、実際はそうでないことが良く分かる報告内容でした。ネットワークの中で若者たちが社会的な経験を積み、就労の世界に入っていくというプロセスがあります。“圧倒的社会的経験不足”にある若者たちを放っておくと、働くことができないまま年を重ねていくことになります。人・お金・ネットワーク・時間が当事者に注がれれば、働くことができるようになる、こうした仕組みづくりに今後も取り組んでいきたいです。
村木厚子さん:
ひとりにさせないこと、信頼できる大人を増やすこと、この二つが各団体の報告で共通して感じられたことです。各団体の報告から、個々の人の伴走支援が何であるかを具体的に教わったと同時に、子どもたちがどこで躓くのかを学ばせて頂きました。また、コロナ禍という危機が、つながりをつなぎ直すきっかけになった、という話が有難く、励まされました。こうした機会を何度もつくりながらやっていくことが大事だと感じました。
〇講演「社会的養護における自立支援・就労支援関係施策について」
今回、厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課長の中野孝浩さんを講師としてお招きしました。中野さんは、2020年8月に家庭福祉課長に着任されたばかり。お忙しい中にも関わらず、ご講演頂きました。
首都圏若者サポートネットワークの運営委員であり、今回のコメンテーター役でもある、藤井康弘さんが厚労省で障害福祉課長をしている際、中野さんは北海道庁で障害者の自立支援に関する業務を行われていました。当時、施設から地域へつながることを意識した施策に取り組まれていたようです。「お金を稼ぐだけでなく、社会とつながりを得て成長することが重要な意味を持つ」ということは、社会的養護の課題においても共通していると、シンポジウム第一部からも感じられたとのことです。
●社会的養護の現状
本来、保護者である両親が、子どもを心身ともに健やかに育てることが前提にあります。社会的養護が必要な子どもに対しても、可能な限り、家庭的な環境に近い中で育てていくために、里親やファミリーホームを増やすことを目指しています。
社会的養護の最たる原因は、虐待です。虐待児童数は過去10年間で倍増しており、昨今非常に増えてきている状況です。H11年に虐待防止法が施行されましたが、H30年には施行時の13.7倍、16万件以上という大変な数字になっています。虐待の原因を見てみると、心理的虐待が増えています。この心理的虐待の定義には、親が子の前でDVをやっている「面前DV」も含まれ、これが増加していることも一つの要因になっています。
社会的養護を必要とする児童の特徴として、障害のある児童が非常に増えていることが挙げられます。里親の場合で約25%、児童養護施設の場合は40%弱が障害のある児童です。また、障害とは認定されない児童、発達障害なども考慮すると、困難を抱える児童がさらに多くいることも予想できます。
そうした若者たちの進学・就職の状況を考えるうえで、生活をするための安心感のある場所と、そこで大切にされる経験が重要になります。自己肯定感、自分らしく生きる力、他者を尊重して共に生きていく力、そうした普通の家庭では自然に育まれるような、基本的な力を獲得していくことが必要です。
一人の人間として生きる基本的な力を備えるために、高等教育を受けることも重要です。大学進学率をみると、全体で51%程度の進学率のところ、児童養護施設児や退所者は14%程度となっており、非常に低い状況にあります。大学への進学率は、就職先や総所得にも影響を及ぼします。社会的養護にある子どもたちの進学を応援していく必要があります。
●社会的養護を巣立つ若者の自立支援
社会的養護を受ける子どもは、18~20歳の間で、施設や里親を旅立つことになります。旅立ち後の支援として、コーディネーターによる相談支援が挙げられます。ほかにも、退所者が気軽に集まれる場所を提供する事業を、新規で創設しているところです。
施設退所時に就職か進学を選択することになりますが、就職者には家賃として月額2万5千円を貸付、5年間就業継続の場合に返還が免除される制度があります。進学者には日本学生支援機構奨学金など一般的な制度のほかに、生活費の貸付で月額5万円と、家賃相当額を貸付し、卒業後に5年間就業を継続すると返還が免除に制度があります。
また、資格取得支援もあります。施設にいる間から25万円を上限に、資格取得のための貸付を行い、就職をして2年間就業継続すると返還が免除される制度もあります。このように、様々な資金支援のかたちで、自立をサポートしています。
2020年8月5日には、社会的養護の子どもたちを支援する団体等の意見を聞く場がありました。ヒアリングの中で、コロナ禍で教育格差や情報格差につながる可能性があるため、インターネット環境の充実が重要になることや、退所後に受けられる支援内容を知りたい、といった意見が寄せられました。
社会的養護を巣立った若者たちの、退所後の実態把握の調査を全国規模で初めて行うところです。生活上どういった課題を持っているのか、支援ニーズを整理し、自立支援の充実につなげていきたいです。
最後には、「民間の方々がきめ細やかな支援を行っていることに感謝。民間と行政が共通で支援したほうがいいことは、政策にも取り込んでいきたい」と、講演を締めくくりました。
○パネルディスカッションについて
続いて、「社会的養護における自立支援・就労支援の現状と課題」をテーマにパネルディスカッションが行われました。
コーディネーターは、首都圏若者サポートネットワーク副委員長の藤井康弘さんが務められました。藤井さんは、かつて厚労省で仕事をしており、今では現役の里親です。これまで十数人の子どもたちの父親をやってこられました。その中で、感じられたこととして、様々なハンディキャップを抱えている子どもたちにとって、就労時の支援が重要になってくること、幼児から育てている場合であっても、就労による自立を展望して子育てをしていること、自立する際に、本人と様々なことを検討して送り出しているが、上手くいくことも、行かないこともあり、難しさを痛感していることを述べられました。
今回のシンポジウムにご参加頂いた団体は、社会的養護を巣立つ若者にとって人生の大きなイベントである就労に関して、準備段階から就労後の定着支援に至るまで、様々な段階で支援活動を行っています。藤井さんは、今回のパネルディスカッションで、各現場で活動するパネラーの皆さまとともに、これからの就労支援のあり方について議論がされることを期待しました。
パネラーとして、秋田豊さん(自立援助ホーム マラナ・タ・ハウス)、北川裕士さん(よいしごとステーション・ワーカーズコープ)、小柳智恵さん(ワーカーズ・コレクティブ凛)、菅原亜弥さん(認定NPO法人ブリッジフォースマイル)、中根康子さん(一般社団法人くらしサポート・ウィズ)、渡辺繁美さん(生活クラブ連合会)の6名にご参加頂きました。
加えて、先にご講演頂いた中野孝浩さんに、助言者としてご参加頂きました。
●認定NPO法人ブリッジフォースマイル
はじめに、今回のパネラーでもある、ブリッジフォースマイルの菅原亜弥さんにお話頂きました。ブリッジフォースマイルは、社会的養護の子どもたちへの自立支援を行うとともに、社会的養護を巣立った若者に関する独自の全国調査を2014年から行っています。その調査からの考察と、コロナ禍で行われた緊急支援の取り組みについてご紹介頂きました。
全国調査は、全国に約600ある児童養護施設のうち、30%から回答があったものです。
2018年の調査結果で、施設退所者の進学率が調査以降で初めて30%を超え、給付型の奨学金や貸付制度が拡充されたことの効果がでていると考えられます。一方、2018年時点で進学して1年経過した時点での中退率が13%となっており、一般の学生が2%であるのと比べると圧倒的に多く、注視しなければならない点です。また、進学して4年経った当事者については、半数が卒業しているものの、施設職員が退所後の状況を把握できていない「不明」と回答された子どもが15%を超えており、不安要素になっています。中退率が高い現状に対して、進学者の貸付金の返還免除には卒業後の就業継続が前提にあります。菅原さんはこうした状況を踏まえ、柔軟な制度運用の必要性を訴えました。
退所者の就職率は60%程度で、退所後1年の離職率は10%程度になっています。高卒1年目で就労して辞めてしまうケースでは、その後の就職状況にも困難をきたします。生活費を稼ぐことが第一であり、キャリアを見据えた転職活動ができず、就ける職業に就かざるを得ない状況があります。また、退所後の若者たちが離職するリスクには、家を失うリスクも伴います。就職者の40%程度は社員寮など、仕事と住まいがセットの状況にあります。退所後1年で10%が離職してしまうことを考慮すると、退所後の生活安定のためには、制度を活用して住まいや家賃を確保し、仕事と住まいを分け、リスクを分散させることが重要であると考えられます。また、将来的なキャリア形成のための就労先確保の支援も求められます。
退所後に連絡が取れない退所者の数については、調査期間中で10%ほど減少し、改善してきています。施設職員の努力によるアフターケアが行われていることが伺えます。退所後支援のボトルネックとして、職員の数の確保、予算の確保、専門性をもつ支援者の不足、といった回答が多く寄せられました。施設スタッフが当事者に寄り添った支援を行うためには、人員や予算面で限界があることが伺えます。外部団体への委託や連携といった、社会全体での支援を拡充していく必要があります。
ブリッジフォースマイルでは、当事者が施設にいるうちから、継続的な関わりを目指した事業を行っています。例えば、児童養護施設への出張セミナー。圧倒的な社会的経験不足を解消するために、施設以外の知らない大人と関わりながら、将来について自分と向き合う機会を提供しています。ほかにも、就労について大人と学ぶ「巣立ちプロジェクト」や、スポーツイベント、個別面談、居場所として立ち寄ることのできる場を設けるなど、困った際にSOSをキャッチできるよう、様々な接点を持っています。
最近では、コロナの影響を受けて緊急支援の取り組みも行われました。第一弾では、仕事を失い、家賃が払えない人に対して現金を給付。第二弾では、長期の影響を見据えて、自立に向けたサポートのために、目先の家賃支援だけでなく、正社員就職を目指す方の支援や、家計をやりくりするスキル習得支援、就活の資金支援などの取り組みが行われました。いずれの支援も、資金支援だけではなく、伴走者をつけることが前提となっており、目標を一緒に考え、伴走しながら生活の安定を目指す体制がとられています。
●自立援助ホーム マラナ・タ・ハウス
続いて、マラナ・タ・ハウスの秋田豊さんにお話頂きました。
新型コロナを受けての退所者の現状について、全国自立援助ホーム協議会で実施したアンケートの結果では、入所者・退所者ともに上位の課題として、収入の問題、就職困難が共通して見られました。また、アンケート結果や、実際に秋田さんが自立援助ホームで感じることとして、入所者の意識を高めることの難しさが挙げられました。入居者に何度も注意を促していても、手洗いや消毒をやろうとせず、コロナに対する危機意識の低さを感じられるようです。また、自立援助ホームは就労しながら自立を目指す場所であるため、コロナで感染者が増加する中であっても、仕事へ行くことを止めるわけにはいかないという、難しい現状があります。
実際のマラナ・タ・ハウスから退所した若者のケースについてもお話頂きました。ある退所者は、新型コロナの感染拡大前から家賃を滞納していました。飲食店に勤務しているため、コロナの影響で収入が減り、さらに厳しい状況に陥りました。ある日、SNSで死にたいとの表記があり、職員がすぐに連絡をとり、その日のうちに自宅へ訪問しました。家賃の支払いが困難であり、また、自立援助ホームから遠い場所に住んでおり職員が往復するのにコストがかかることから、一時的にホームに住まわせ生活再建を行いました。現在では、賃貸物件への移動を予定しています。
別の事例では、コロナの影響で仕事が減ったため家で過ごす時間が長くなり、データ使用料が月40万円近くになっていた若者も。職員が同行し、携帯会社に支払いを猶予してもらいながら、定額プランへの変更やWi-Fiの導入を検討しています。携帯の使用について職員が何度も注意喚起をしているにもかかわらず、なかなか収まらない現状がありました。
このように、自立に向けた支援は職員が寄り添い、きめ細かい対応が必要になりますが、人員や時間の制限があります。
退所者が自立するためには就労支援が重要と考えられますが、若者が施設を巣立つときというのは、就労支援以前に、生活基盤の整備を先に考えなくてはいけない状況にあります。就労支援を必要としている子どもたちには、生活支援の必要性も伴うことが課題です。
また、生活支援のために、時間や労力が非常にかかってしまう状況も考えられます。2019年のジョブトレーナー分科会による調査では、退所者の居住地が自立援助ホームから離れており、往復で4~5時間かかるケースも珍しくないことが明らかになりました。また、東京都以外に居住する退所者も30%弱おり、自立援助ホームの職員が退所者支援を行うには、多くの時間や労力がかかることが分かります。
自立援助ホームに相談する退所者の多くは、緊急性が高く、金銭的・時間的余裕がありません。ホーム職員は、彼らをひとりにさせないために、多様な関係機関につなげるよう取り組んでいますが、先に挙がった往復時間の課題があり、労力面での余裕もありません。また、関係機関の支援を得るにあたっても、当事者が能動的でなく、ホーム職員が同行しての手助けがないと、支援の取り組みが進まない課題もあります。能動的に動けない若者が、仕事でもプライベートでも孤立してしまい、自立後の状況把握が遅れてしまう。そうした若者への支援を重点的に考える必要性を、秋田さんは訴えました。
●よいしごとステーション
続いて、よいしごとステーション・ワーカーズコープの北川裕士さんに、取り組みについて紹介頂きました。
ワーカーズコープ(労働者協同組合)は、労働者や市民が協同で出資し、経営に参加し、地域社会の課題解決を目的とした仕事を、自らつくっていく協同組合です。40年ほど前に、失業した人々の仕事づくりを目指してつくられました。
ワーカーズコープの自立ケアにおいて、熊谷信一郎氏のいう「自立とは、依存先を増やすこと」という考え方が重要視されており、支える・支えられるという一方的な関係でなく、相互に支えあう地域を構築する姿勢があります。また、支援というと、弱い部分を補うことから考えてしまいがちですが、できないことではなく、その人ができること、強みであることに視点を置き、支援活動に取り組まれています。
事例として、地域共生型就労拠点こみっとプレイスを紹介頂きました。ここでは、仕事に人が合わせるのではなく、自分たちができることから仕事をつくり出していくという、人に仕事を合わせる取り組みが行われています。
北川さんが都内の関連団体と連携して取り組んでいる、よいしごとステーションについてもご紹介頂きました。よいしごとステーションには、仕事紹介、仕事についての相談受付や短時間就労の受け入れ、講座の実施、仕事おこしの支援といった4つの機能があります。相談者を、既にある職場での就労機会につなげるだけではなく、働くということについて時間をかけながら学ぶ機会にもつなげています。
北川さんは、このよいしごとステーションをもっと多くの方に知ってほしい、相談者のできることを一緒に探しながら、迎え入れてくれる職場とのマッチングを図っていきたい、と締めくくりました。
●生活クラブ連合会
生活クラブの渡辺繁美さんより、取り組みについて紹介頂きました。渡辺さんは、今年の春から福祉政策分野を担当されており、お米の配送や助成金といった緊急支援に取り組まれてきました。コロナ禍の中で、首都圏若者サポートネットワークとも連携を図って頂き、お米を生活困窮者の方々へ届けることができました。組合員からの寄付募集は東京・神奈川・埼玉で取り組んでおり、7,587名の寄付者から、1,258万円を超える寄付金が集まりました。この金額には、チャリティ自販機やカレンダーなどを通して寄付されたものも含まれています。これに付随して、飯能デリバリーセンターの自販機の様子もご紹介頂きました。自分たちのお金がどこに使われるかをアピールし、寄付に関心を寄せてくれる人を増やそうと取り組まれています。
社会的養護のもとで育った子どもが、家族の身近なサポートなしに18歳で人生の岐路に立つ厳しさについて、多くの人は知る機会がありません。自分ごととして捉える人が多くなり、支援をする人が増えてほしい、そんな思いで取り組まれているようでした。
今年は若者の就労支援に協力する方針がある中で、東京エリア全体でのサポートができないか、検討が進んでいます。都内には生活クラブの労働の場として、小規模な職場から、共同購入の配送センターなど50名規模の大きな職場まで様々ありますが、就労支援にどう関与できるか、学習会や職場での周知に取り組まれているところだそうです。
○パネルディスカッション
パネラーの方々のお話を通して、最後にディスカッションが行われました。
コーディネーターの藤井さんは、これまでの話や里親の経験を踏まえて、就労支援に生活支援が伴うこと、また、生活習慣を改善していくにあたり、子どものエンパワメントが最も難しい点であることを述べ、子どもたちのモチベーションを上げていくために、普段どんなことに気を付けているか、投げかけました。
秋田さん:
ごみの出し方、部屋の片づけ方といった基本的なことまでチェックし、できたときには褒めるようにしています。東京都のデータで、都の自立援助ホームに入所する子どものうち、半数が社会的養護の経験がなく、家庭からの子であるというデータがあります。児童養護施設出身者は生活習慣の基本がある程度できていますが、家庭からくる子どもたちはそうではありません。社会的養護の外からくる子どもたちに、今後どのように対応していくかが課題です。
菅原さん:
施設の外から支援している立場ですが、早い段階から子どもたちと関わっていくことを大事にしています。子どもたちが身近な施設職員さんに対して反抗的になってしまう場合がある中で、外部の大人が一緒に考える機会を提供しています。また、インターンシップというかたちで働く体験ができる場を設けている中で、働く体験の中で達成感や、褒められることにより働く意欲を持たせる経験がモチベーションにつながるのではないかと思います。
中根さん:
当事者についての相談を受ける中で、子どもたちの意識として、「自分にはできない」から「死にたい」となってしまい、何とかして頑張ろうという前向きな気持ちになってくれない傾向を感じています。どのように対応したらよいのか、いつも疑問に思っている部分です。一方で、その子の成長を信じて関わる大人がいる、ということが重要で、大人として諦めずに関わり続けることが大事だと思います。社会的養護につながらない子どもたちを支援する場合も多いですが、そうした子どものモチベーションが低い傾向にあり、今後の課題と感じています。
次に、藤井さんより、社会的養護の子どもたちを職場で受け入れる際にどのような配慮が大事なのか、また、受け入れを迷われる職場の皆さまに、受け入れ実施に踏み出すためのメッセージやアドバイスを頂きたい、と投げかけられました。このテーマでは、就労受け入れを行われている立場にある方々にご意見を頂きました。
北川さん:
ワーカーズコープでは、組合員同士が話し合うことがベースにあり、互いの平等性をどこまで出し合えるか、という視点で取り組んでいます。同じ職場で働いている仲間同士が、互いの弱さ・強さも理解しあうことが、働く仲間の継続的な関係につながると考えています。
小柳さん:
組織のミッションに地域に貢献するという考え方があり、自分たちにやれることは何なのか、考えていく意識が全体で共有されています。また、実際に受け入れた中で、基本的な生活習慣について、どこまで踏み込んでいいのか迷いがありました。当事者にずっと寄り添ってきた支援者の方に相談できるような連携がとれていれば、受け入れ側としても安心
して受け入れることができると思います。
渡辺さん:
組織内での社会的養護についての周知が足りていない状況ですが、周知に加えて、職場全体が相談できる風土を築くことから取り組む必要があると思っています。今回のシンポジウムで知った研修プログラム等も参考にさせて頂きながら、様々な個性を尊重しながら、参加型の職場を目指していきたいです。
これまで出た意見を踏まえ、藤井さんは、子どもたちと一緒になって職場をつくっていく意識で取り組むことの大切さを述べられました。
最後に、助言者である中野さんより、今後の就労支援のあり方についてコメントを頂きました。
アフターケアとはいっても、施設職員が巣立った若者たち全員を追って支えていく、というわけにはいきません。支える地域づくりをしたうえで、施設が地域と連携していくような仕組みが、よりよい支援につながります。前職時代、障害のある方が地域の空き店舗などを活用し、活躍していくという地域づくりに取り組んでいました。社会的養護を巣立つ若者についても、そうした“優しい”就労受け入れをする地域の体制をしていく視点が必要だと思われます。
また、働く場所の観点では、仕事に合わせて人を排除する考え方ではなく、人の能力に合わせて仕事をつくっていくことが重要と考えています。社会的養護で育つ方々は障害者の認定が取れない方も多いため、そうした方を受け入れる優しい職場を幅広く増やしていきたいと思います。
○閉会挨拶
最後に、首都圏若者サポートネットワークの顧問、村木厚子さんより、閉会挨拶を頂きました。
今は、コロナという新しい危機にみんなで対応している状況ですが、実は、SARSやリーマンショック時の経験は、今回のコロナの状況下でも役立っています。コロナという危機の中で対応することも同様に、次の危機への備えになるので、今一生懸命に取り組む必要があると改めて思いました。それでも、新しい危機は必ずやってきますし、新しい危機に対応する制度は、ないことが多いです。制度がない中で対応しながら、それを次の制度にしていくことができる。そうしたことが今回の危機でも出来たらいいと思います。
また、伴走支援者の方々が子どもたちの問題を感じ取り、必要としていることをこうした機会で語る、そのことに共鳴して寄付に応じてくれる人がいる。こうした循環を繋げながら支援の輪を大きくしていくことが首都圏若者サポートネットワークの役割と感じました。必要性を感じ取る力、支援をつくる力、説明する力、支援を実現する力、みんなでつくっていきたいです。
今日の大きな学びは、働くことと暮らすことの支援は表裏一体であり、また、働くことについても、早い時期から支援が必要である、という点でした。一緒に働く、暮らす場や地域をつくることを最終目標として、首都圏若者サポートネットワークが支援を広げる原動力となれるように頑張っていきたいです。ご参加の皆さん、視聴頂いたみなさんとともに、若い人たちのためにやさしい地域や職場を作っていけたらと思います。
○おわりに
今回はオンラインでの開催となりましたが、様々な分野で活動される伴走者の方々にご参加頂き、学びの多いシンポジウムとなりました。