お知らせ

2020年11月25日(水)

【オンライン開催】現場見学ツアーのご報告

先月17日に行った若者おうえん基金現場見学ツアーのご報告です。
今年度助成を行った3団体の活動報告や施設の見学を行うツアーをオンラインで開催いたしました。

3団体それぞれについて、報告記事で紹介させて頂きます。
1団体目は「NPO法人神奈川子ども支援センターつなっぐ」さんの紹介です。

皆さまからのご支援を、どのような団体に助成し、どのような形で使わせて頂いているのか具体的にご紹介できると思います。
是非ご覧になって頂ければ幸いです。

■目次

 

NPO法人神奈川子ども支援センターつなっぐ

神奈川子ども支援センターつなっぐは、暴力や虐待、特に性的虐待被害を受けた子どもための「ワンストップセンター」として、医療や司法、行政機関、NPOなどの幅広い機関と連携して伴走支援を行っている団体です。

虐待被害の初動対応として、複数の大人に何度も被害を話さなくてはいけなかったり、子どもの精神面への配慮が行われない方法で聞き取りを行ってしまったりすることで、子どもに二次的な被害を与えてしまうことがあります。

つなっぐでは、研修を受けた専門スタッフが司法面接を行うことや、系統的全身診察という頭から足先まで全身の診察も同時に行うことができる環境を整え、子どもにとって優しい環境で、負担の少ない形で被害経験の聞き取りや記録を行っています。

とくに現在、子どもの心理的負担を軽減させるため「付き添い犬」を通じた精神的支援が注目をされています。
付き添い犬は「日本介助犬協会」と「日本動物病院協会」で訓練を受けたワンちゃんで、ワンちゃんとの触れ合いを通じたセラピーや、ワンちゃんが実際の裁判での証言の際に隣に寄り添うことで、裁判に出廷した際の精神面への負担を減らす効果が期待されています。

ツアーの当日は実際に付き添い犬として活動しているワンちゃんの映像や、裁判への付き添いが許可されたことに関する以下の報道記事を通して活動を紹介して頂きました。

許可されたのは10代の女児に虐待行為をしたとして、男が児童福祉法違反の罪で起訴された事件。女児は7月、心のケアのため触れ合いを続けていたゴールデンレトリバーを伴って入廷。
当初は出廷自体を怖がっていたが、犬の同伴が許可されたことで証言を決心した。約1時間半の尋問の間、終始付き添い犬を足元に連れていたという。
(【引用】日本経済新聞:被害証言に付き添い犬同伴 虐待事件公判で異例許可)

現在、神奈川県と協働しているため付き添い犬を同伴させるための資金は県から助成がでます。
ただ、子どもがワンちゃんに会いに行くとなると、子どもの交通費や、子どもが家を出るための支援活動、それにかかる食事代や交通費が必要になります。
そのような子どもたちへの精神的なサポートに必要な費用として、若者おうえん基金の助成を活用しました。

また、つなっぐでは、10代後半以上の中長期の支援も行っています。
虐待被害は、対応の初期段階ではたくさんの大人による支援が注がれるのですが、子どもの成長とともに環境も変わってくると、どんどん支援の手がなくなってしまう現状があります。

例えば、性虐待が発見される年齢というのも、被害を長く受けた後、中高生になってからということが多くあります。
そのような年齢になってくると、なかなか児童相談所での対応が難しい年齢になってくることもあり、そのような女性にアウトリーチの形で支援を行うようにしています。

今回の助成金では、そのような10代後半以上の女性の、独り立ちのサポートや、学習支援のための費用としても活用しています。

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▪アフターケア事業所クローバーハウス(コンパスナビ)

埼玉県で社会的養護出身者向けの居場所事業として「クローバーハウス」を運営しているコンパスナビのご紹介です。

コンパスナビの母体会社は、自動車合宿免許の斡旋をする会社で、2014年に埼玉県の児童養護施設を退所する18歳へ自動車の運転免許費用を全額助成する事業を始め、2019年から居場所事業(クローバーハウス)を開始しました。

クローバーハウスの役割としては当事者を中心にして、行政・民間(企業)・地域の3者が支えるような形を作り、社会的養護を巣立ち、孤立する若者を出さないために活動してきました。

他にない特徴として、当事者が「先輩ユース」としてアルバイトなどで運営に関わるなどして、先輩の経験談や、苦労したことを共有したり、後輩たちが気軽に相談できる環境があるなど、当事者の横の繋がりが非常に強い団体です。

自分たちのマイノリティが容認されるコミュニティとして、「うちの施設こうだったよ」のような当事者同士でしかできない話もできる居場所になっており、今回報告をして頂いたクローバーハウス管理責任者のブローハン聡さんも児童養護施設出身者です。

※ブローハンさんへのライブインタビューイベントも開催しました。是非ご覧になってください!
https://www.youtube.com/watch?v=TIMurvXO6eY

 

ツアーの後半では、クローバーハウスの施設内のご案内もして頂いたので紹介します。

新型コロナの影響により、若者たちが居場所に集うことができなくなり、活動が縮小した部分もありますが、家から出られない若者たちにオンラインで繋がりを持ったり、食料を送るなど、様々なことを工夫して取り組んできました。
(若者おうえん基金の助成は、オンライン対応事業の一部として活用されました。)

クローバーハウスは長屋の一部を間借りして運営しています。
施設を利用する若者はみんな「ただいま」と言って入ってきます。

一階は、にぎやかにコミュニケーションをする場所として、テレビゲームをしたり、勉強をしたり、食事をしたりする場所になっています。

二階はひとりで居たいけど、人がそばに居ることは感じたい、という人や、個別で相談をしたい人のために個室としても使えるようになっています。

登録者は50名程度で、埼玉県が半分、東京・神奈川からでもう半分くらいの割合です。
今は1日4名~6名ぐらいが来るようになっているのですが、コロナの前は多くて20名の利用者がきていました。

地域の支援も大きく、メディアを見て近所のパン屋さんが沢山のパンを持ってきてくれたり、アパレル会社から洋服の提供も受け、登録者は自由に持ち帰ることができる他、スーツの貸し出しも行っています。

とくにこれから寒くなってくるので、アウターの需要が多く喜ばれます。

食料の支援も充実しており、コロナの前は料理を作っていたそうですが、今はお弁当という形でレンジでチンできるように揃えられています。

人気メニューは、鶏の唐揚げとハンバーグのお弁当ですぐになくなってしまうそうです。
また企業から、大量に冷凍食品や乾物などを送って頂き、お米も40キロ前後を常に常備して生活困窮者などの必要な子に渡しています。

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▪NPO法人日向ぼっこ

NPO法人日向ぼっこは、社会的養護の当事者団体として当事者のネットワーク作りということを目標に活動を開始し、今は「多様性が尊重される社会の実現」を団体の目的としてより幅広く活動しています。

社会的養護のアフターケア事業者としては長く活動している団体で、年間のべ4000人ほどの若者と繋がっています。

主な事業として、居場所事業、相談事業、発信事業を行っています。

居場所事業では、食事やゲームをするなど、安心安全な場所を提供するために、週3回、サロンの活動をしていました。

コロナ禍で継続が困難な状況になり、現在はリアルでのサロンは週1回、zoomでオンライン開催を週2回行っています。

相談事業では、時間をかけて本人の話を聞き、一緒に考え、本人が決めるサポートをしています。
専門的な部分は、弁護士や病院と連携していて、経済的問題、人間関係の相談内容が最も多いです。

返済期限なし上限30万円の貸付基金事業や、寄付で頂いたお米や洋服を必要な人に送る物品支援も行っています。

発信事業では、来館者の声を社会に発信するものと、支援が必要な人に届くように日向ぼっこの活動自体を発信を行っています。

今回若者おうえん基金の「新型コロナ緊急助成」「チャリティスマイル新型コロナ助成」で採択され、困っている若者たちへ食料や衛生用品を送ることができました。

若者たちからは、4月頃から、食べるものが買えないという声が多く寄せられており、食料を送ることで、食べ物がないことからくる不安を払拭できたことに加えて、久しく連絡がとれていなかった若者と連絡を繋がることができました。

仕事の状況や現在抱えている悩みごとを聞く、雑談をするなど、精神的なサポートに繋がり、約40名の若者たちに、食料の配送を実施しました。
今回の緊急助成では助成決定から入金までの対応が早く、支援者として助かったと、助成金についての感謝の声も頂きました。

オンラインツアー当日は、引っ越したばかりの居場所の内部の紹介や、居場所事業の風景を画像で紹介して頂きました。
ここからは当日のスクリーンショットを中心にご紹介します。

・誕生日会
現在は、新型コロナの影響で中止となっているが毎月誕生日会を行っている。
誕生日会のケーキは、スポンジとクリームを毎月寄付してもらっていて、みんなで作って食べるのが恒例。

・季節イベント
クリスマス会やお正月などの年間行事も開催している。
今年の開催は未定だが、毎年おせちはビール会社に寄付してもらっているそうです。

・日向ぼっこ展覧会
展覧会も毎年開催しており、今年度も開催準備中。

・勉強会
毎月勉強会も開催している。現在はオンラインで行っており誰でも参加可能です。

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