特別対談

石田 寿株式会社伊藤園 執行役員
村木厚子首都圏若者サポートネットワーク 顧問
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SDGsと「五方よし」

SDGsと「五方よし」

村木:CSRについて、どの会社も熱心になってきていて。私も最近いくつかの民間企業さんで勉強させてもらってるんですけど、よく「日本にはもともと『三方よし』ってあったよね」って言われるんです。「売り手よし、買い手よし、世間よし」って。
そうしたらこの間、SDGsの勉強会かなにかのときに、昔の三方よしと今のSDGsってどこが違うかっていうお話があって。SDGsは「五方よし」だと。加わったのは、一つは地球環境。「地球によし」「環境によし」っていうこと。そしてもう一つは、「未来よし」だと。

石田:未来。

村木:要するに、いまの世代で資源を食いつぶすのではなくて、将来に何を残してあげられるかっていうことですね。我田引水になりますけど、(社会的養護を含めた)子どものことって、やっぱり「未来よし」にする上で大切なことです。子どもの貧困なんていうのは、いまの大人が先の世代の子に残しておくべき資源を取り崩してる部分でもあるので。
たしかに地球環境っていう、一つグローバルな考え、あるいは環境問題が深刻になっているっていう考えと、「未来よし」っていう次の世代のことを考えるっことって、なかなか分かりやすい発想かなと思って。「未来よし」は、私自身ずっとこだわってきたところでもあったので。「環境よし」のほうは、最近やっと勉強を始めたんですけどね。

石田:環境は、どこにとっても不可欠ですからね。もうそれは環境省とか環境行政とかそういうレベルの問題ではまったくないですね。
企業は「法人」と言いますけど、これは要するに人なんですよ、本当はね。社会を構成する人格としての法人格ですから。だから普通の自然人格と同じように、この社会を構成している以上、そこは要請されるあらゆるものに応えていかなければいけないということなんだと思うんですよね。
企業としても環境をしっかりと維持しなかったら、持続的に未来に向かって生きていけないだろうと言われると、当然そうなんですよね。企業と普通の個人=自然人は別だと、なんとなく思っていたんですけど、「そうじゃないでしょ」ってだんだん世の中みんなが気づきだしたというか、理解しだしたんです。
「法人なんだから、権利も与えられるけど、ちゃんとやることもやりましょうね」っていう世界にだんだんとなってきた。そのことに早く気がついたところほど、「この企業は分かってるんだな」っていうことで、「自分たちの善き隣人、パートナーとして認めてあげましょう」「支援してあげましょう」となる。そういう(善き隣人としての)企業になる競争がいま始まっていると思います。

社会を構成するパートナーとして

村木:私はフィランソロピー協会の仕事もやらせてもらっていて、そこで勉強したのは、経済活動は企業がやって、パブリックなところは役所がやるっていう考え方は古いと。これからは行政や企業、それからNPO的なものとか、みんなが社会のパートナーとして協働する、一緒に働くっていうふうになっていくだろうと。そう言われて、なるほどなと。
特に役所を離れたので、ますますそういう気分に私もなってですね。この社会を構成する人、法人っていう意味では、本当に対等でいいんだろうなっていう気がしますよね。
特に日本の場合、本当に企業さんの力は圧倒的に大きいなと思うこと、実感することがたくさんあります。

社会を構成するパートナーとして

石田:われわれも、できる範囲でこういう支援をさせていただきたいです。そういう意識っていうのは、どんどん広がっていってもらえたら。われわれの今回のご支援の仕組みというのは、われわれだけではなかなかうまく動かない。一緒になって「支援していこう」っていう気持ちが増えれば増えるほど、この支援の輪が広がっていく。そういう仕組みですよね。
いろいろな企業が、いろいろな形で、いろいろな取組を始めていると思います。「伊藤園がやっているんだったらもうやらない」というのではなくて、「伊藤園がやっているんだったら自分のところもやろう」というぐらいの感じでどんどん参加してもらうと、村木先生がたのご趣旨に一番沿うんだろうなと。われわれのことばかり、あまり前に出さないほうがいいのもしれません(笑)

村木:本当に、こういうご縁ができてありがたいです。

石田:こういう形で、社会に関わりながら、社会の一員としてやるべきことはやっていくという。ニーズをしっかりと確かめながら、さらに次につなげていくという活動をこれからも続けられれば、どんどん会社としても持続していくと。そういう過程で善き隣人として存在しなければいけないということだと思います。

村木:われわれも一生懸命いい形をつくっていこうと思っておりますので、ぜひご協力よろしくお願いいたします。

石田:こちらこそよろしくお願いします。

社会を構成するパートナーとして